放射線部 検査・部門紹介 高度救命救急センター

高度救命救急センターの役割

杏林大学医学部付属病院は、救命救急センターの中でも、特に高度な診療機能を持つ施設として、厚生労働省により高度救命救急センターに認定されています。30床の集中治療ベッドと、3つの3次初療室を有し、24時間365日体制で患者を受け入れている当院は、救急医療の「最後の砦」として、多摩地区および23区の西部地区を支えています。

主な3次救急症例

  • 重症外傷(交通事故、転落)
  • 重症心疾患(心筋梗塞等)
  • 重症脳疾患(くも膜下出血等)
  • 重症呼吸不全
  • 来院時心肺停止
  • 重症急性薬物中毒
  • 重症熱傷
  • 高度救命救急センターでの放射線検査・治療

    高度救命救急センターには、X線撮影装置、X線透視装置、CT装置3台、MRI装置、血管撮影装置2台が配置され、重症疾患や特殊疾患の診断・治療に迅速に対応できるよう最新の装置を導入しています。救急医療における画像診断は必要不可欠であり、当院ではCT検査による心臓撮影や脳出血、脳梗塞に対する画像評価に24時間対応しています。
    2023年5月に導入されたハイブリッドER(Hybrid Emergency Room)は、手術室内に血管撮影装置とCT装置があり、カテーテルによる治療や手術が行え、同時にCTによる診断も可能な設備です。放射線技師は、緊急度・重症度の高い患者に対応するため、患者を中心としたチーム医療を心掛け、迅速な検査の施行と的確な画像提供を行っています。


    救急科 重症外傷
    (交通事故、転落)
    血管造影による
    出血部位の止血
    脳神経外科 重症脳疾患
    (脳出血、くも膜下出血)
    血管造影による
    血栓回収、コイル塞栓
    循環器内科 重症心疾患
    (心筋梗塞)
    血管造影による
    冠動脈ステント留置
    心臓血管外科 Hybrid Emergency Room
    (大動脈解離、大動脈瘤)
    血管造影による
    大動脈ステント留置

    320列CTで心臓、外傷、脳卒中の疾患を見逃さない

    高度救命救急センターのCT 装置は、体軸方向に0.5mmの素子を320列配列した検出器があり、最大で16cmを1回で撮影できる面検出器CTです。
    心臓撮影では、面検出器の特長を生かし、16cm幅の心電図同期撮影が行え、1回転0.275秒、1心拍分のデータから画像を作成することが可能です。 従来のヘリカルスキャン方式に比べ、さらなる呼吸停止時間の短縮、造影剤量の低減ができます。また、高速撮像が可能なため全身を一度で撮影し、重症外傷における初期診断に大きな役割を担っています。



    3次元表示で心臓、冠動脈全体を俯瞰して観察が可能


    冠動脈全体の把握と狭窄、石灰化の描出


    重症外傷の高速スキャンによる全身パンスキャン

    脳卒中患者さんに対する従来の検査方法はCTを撮影してからMRIを撮影し、確定診断をしていましたが、2019年に当院脳卒中センター、放射線部とキヤノンメディカルシステムズ株式会社とが共同で開始した研究により、CTのみで脳血管の梗塞部位を特定することができるようになりました。
    脳は血液が途絶えると1分間で190万もの細胞が失われるといわれています。t-PA治療、超急性期血行再建術は24時間365日対応可能です。
    MRI/Aを用い、t-PA治療の適切な使用、また、機能予後を考慮した血行再建のタイミングを常に考え、各症例に応じた治療を行っています。
    これらの検査は専門のスタッフにより行われ、放射線部は、これら装置の保守管理を行うと共に安全で精度の高い画像を提供するために、常時3〜4名の放射線技師を配置し24時間で対応しています。


    わずか2分程で、全脳Perfusion Map(血流画像)と4DCTA(血管画像)の両方が得られます