病院・診療科について特殊災害(NBC災害)訓練を実施
作成日時 2013年09月27日
訓練はまず、TCCの山口芳裕センター長から放射性物質と放射線の解説、被ばくした患者への対応の講義があり「被ばくした患者から出る放射線量は微量なので、個人線量計で被曝線量をきちんと管理していれば大丈夫です。しかし、患者に付着した放射性物質は微量でも体内に取り込んではいけないので、しっかり防護服・防護具を装着することが重要」と対応時の注意すべき点を強調しました。


講義後、参加者は二人一組になりタイベックススーツという防護服の着脱訓練を行いました。タイベックススーツは放射性物質を取り込まない・付着させないための全身を覆う防護服で、当院では現在、約600着を備えています。着脱訓練の講師はTCC看護師の望月桂さんで、望月看護師は放射線医学総合研究所で緊急被ばく医療の対応訓練を受けたNBC災害対応を専門とした看護師です。着衣の手順は、まず、ズボンの裾を靴下の中に入れ、次に自分の皮膚の代わりになる手袋を装着し、スーツ、マスク、ゴーグル、フード、シューカバーの順に装着します。最後に処置ごとに交換する手袋を着け、仕上げに手首・足首の防護具の隙間を埋めるために、ガムテープで目張りします。この時、テープは動きの妨げにならないように緩く貼ることがポイントだと解説がありました。脱衣の手順は、着衣の逆を辿るように頭の上から下へ順番に、表面が内側になるように脱ぎ、最後に皮膚の代わりの手袋を取って完了、山口センター長から「防護服の着脱は脱衣の方が難しい。汚れを撒き散らさないように静かに脱ぐように」とアドバイスがありました。参加者は手順に従い、お互いにきちんと着ることができているかチェックをしながら慣れないスーツの着脱を行いました。着脱訓練後、参加者からは「着ているだけでかなり暑い。これで医療を行うと思うと大変」「動きづらいが、二次被害を受けないためにはしかたがない」など感想が聞かれ、万が一の事態の際のイメージを膨らませている様子がうかがえました。


次に場所をTCC1階の初寮室に移し、TCCスタッフによる養生訓練が行われました。訓練は被曝した患者の受入要請があったと想定の元、受入準備としてディスポーザブルの医療資機材以外の物品を酢酸エチルのシートで覆う養生を行いました。患者受入要請のホットラインを受けた医師の指示で養生が開始、初寮室全体の床や壁、ベッドやモニター、点滴棒、ゴミ箱も養生され、患者の処置が行われるホットエリアには床に吸水性のあるシートを敷き、最後にホットエリア全体をビニールの壁で素早く囲い、養生が完了しました。配管やコード類の養生には傘袋を用いるなどの工夫も随所に見られ、TCCスタッフのよく訓練された迅速な対応に、見学していたスタッフも真剣に見入っていました。
養生訓練終了後、放射線部の清水則一主任技師より、放射線量を計るGMカウンターや被ばく患者対応時の全体指示は放射線技師が行う等の役割の説明がありました。そして最後に山口センター長より「当院は災害拠点病院に指定されているため、国や都から色々な依頼があります。今後もこのような訓練を行って病院全体のスキルアップを図り、できる限り対応していきたいと思いますので、皆さんご協力お願いします」と挨拶があり、訓練は滞りなく終了しました。


