循環器内科先進的な医療への取組み
不整脈診療
当科の不整脈センターは、日本不整脈学会認定専門医12名を中心に、臨床工学技士やデバイス専任看護師と連携し、正確な診断と高度な治療を提供している。豊富な経験と技術を活かし、難治例や他院で治療困難とされた症例にも積極的に対応している。
- 頻脈性不整脈に対する治療
心房細動、発作性上室頻拍、心室頻拍など多様な不整脈に対し、薬物療法に加え、カテーテルアブレーションによる根治治療を実施している。
心房細動に対しては、長時間ホルター心電図や腕時計型デバイスによるスクリーニングを行い、高周波・冷凍凝固・パルスフィールドなど最新技術を用いたアブレーションを患者の状態に応じて選択している。
心室頻拍や心室細動に対しては、カテーテルアブレーションに加え、自律神経修飾やエタノールアブレーションなど先進的治療を外科・麻酔科と連携して行っている。 - ペースメーカ・ICD・CRT治療
当センターは日本で初めてリードレスペースメーカを導入し、固定法の異なる機種も積極的に採用している。皮下植込み型除細動器(S-ICD)やヒス束ペーシング、左脚領域ペーシングなど最新技術も導入し、他院で困難な症例にも対応している。
植込み後は遠隔モニタリングを活用し、不整脈や心不全の早期発見に努めている。デバイス専任看護師による心理的サポートも重視し、患者のQOL向上を目指している。 - 左心耳閉鎖術
抗凝固療法が困難な心房細動患者に対しては、脳卒中科と連携し、専用デバイスを用いた左心耳閉鎖術を安全かつ低侵襲に実施している。 - 突然死リスク評価・失神診療
心筋梗塞や心筋症による重症心不全例、遺伝性不整脈症候群に対し、画像検査や薬物負荷試験などを組み合わせて突然死リスクを評価し、ICD適応を検討している。
また、失神患者には心電図、ホルター心電図、チルト試験、心臓MRI・CTなどを用いた包括的診断を行い、適切な治療方針を提供している。
肺高血圧症治療
難病指定疾患である慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対して、当院では経皮的肺動脈形成術(BPA)を施行している。日本循環器学会から指導施設として認定を受けている22施設のうちの1 つは当院で、BPA指導医14名のうち1 名が当科に在籍、実施医47名のうち1 名が当科に在籍している。BPA件数は2024年度においては124件と国内有数で、肺高血圧改善・心機能改善・予後改善に関する高い治療効果を認めている。また、肺動脈性肺高血圧の症例の多さは国内でも有数で、持続静注薬であるエボブロステノールや持続皮下注薬であるトレプロスチニルによる持続在宅療法を含めた肺高血圧症に対する積極的治療を行い、予後の改善を認めている。また、国内で実施されている多数の治験に参加している。
弁膜症・構造的心疾患治療
当院では、構造的心疾患(SHD)に対する低侵襲治療の充実を図るため、2021年より経カテーテル的大動脈弁植込み術(TAVI)を開始し、さらに2023年からは経皮的僧帽弁接合術(Mクリップ)を導入した。ハートチームを中心に、循環器内科、心臓血管外科、麻酔科、放射線科、看護師、臨床工学技士など多職種が連携し、患者一人ひとりの症例をチーム全員で共有している。治療適応の判断から治療方針、具体的な治療法に至るまで、定期的なカンファレンスで十分に検討し、最も安全で効果的な方法を選択している。TAVIは開始以来、症例数が年々増加しており、現在では年間40例を超える規模となった。今後も、Mクリップを含めた最新のカテーテル治療を積極的に活用し、患者への負担を軽減しながら質の高い医療を提供できるよう努めていく。

